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2012年5月19日 (土)

今週の1冊 サイレント・ブラッド

Rock_02今週の1冊は、角川書店刊、角川文庫き32-2、北林 一光さん著、 ”サイレント・ブラッド” 、本体価格743円。

著者の北林さんは、以前”ファントム・ピークス”(つい最近、似たような熊の事故が・・・)で紹介済み。

カバーイラストは、”ファントム・ピークス”と同じ、藤田 新策さん。月夜の森、川の側に男の子が1人たたずむイラスト。カバーデザインは、こちらも同じく、國枝 達也さん(角川書店装丁室)。

構成は、”長野県大町市の地図”、”プロローグ ― 昨年の夏―”、セクション”1”~”40”、”エピローグ ―8月中旬―”、”※主な登山用語解説”、全446ページ。

山岳ミステリー小説。主人公は、大学生の沢村 一成。行方不明の父、健一の車が長野県大町市で発見される。母、史子の代わりに確認のため現地に向かう。鹿島川上流の登山道入口近くに父の車が、錆びた鉄の塊になっていた。なぜ、こんな場所に父の車が、父はどこにいるのか・・・。

そこに”タケル”と言う名の男を捜しにきた深雪と出会う。深雪は、知り合いの老女の依頼で捜しているのだという。その老女は千里眼の能力を持つ予知能力者なのだと・・・。

父親の行方を捜すうちに、過去の忌まわしい事件が浮かび上がる。その事件と父親との接点があらわになり、真相をつかむため深雪とともに、鹿島川上流の、人の行く手を阻む険しい沢を登り、落人伝説の残る”カクネ里”へ向かう。そこで待ち受けていたものは・・・。

完読、感謝。おもしろい。次回作をもう読むことができないのが残念、合掌。

2012年5月10日 (木)

今週の1冊 ベテルギウスの超新星爆発 加速膨張する宇宙の発見

Tree_01今週の1冊は、幻冬舎刊、幻冬舎新書238、野本 陽代さん著、 ”ベテルギウスの超新星爆発 加速膨張する宇宙の発見” 、本体価格780円。

著者の野本さんは、東京都生まれのサイエンスライター&翻訳家。主な著書に、「宇宙の果てにせまる」、「ハッブル望遠鏡が見た宇宙(正・続)」、「日本のロケット」等。

ブックデザインは鈴木 成一デザイン室、本文中の図版作成は美創、イラストは永美ハルオさん。講談社ブルーバックスでよく見かけた、コミカルなイラストは相変わらず印象的。

構成は、”まえがき”、”目次”、”第一章 ベテルギウスに爆発の兆候?!”、”第二章 星の誕生と進化”、”第三章 たそがれを迎えた星たち”、”第四章 宇宙の扉を開く”、”第五章 宇宙はどこまでわかったか”、”第六章 加速膨張する宇宙の発見”、全221ページ。

最新の宇宙論の入門書。超新星爆発がもたらす情報は宇宙論を進展させる。

ベテルギウスは、オリオン座の右肩にあたる0.4等星の赤い星、地球からの距離は約640光年(6、000兆km)、直径は太陽の約1、000倍の14億km(太陽から木星ぐらいまで入るサイズ)、質量は太陽の約20倍。

この星が爆発すると全天で一番明るい青い星となり、日中でも3ヶ月は見ることが可能、その後徐々に暗くなり、15ヶ月後にはマイナス4等星(金星と同じ明るさ)、2年半後には2等星(北極星と同じ明るさ)、4年後には6等星・・・。

近年の超新星の観測結果から、「宇宙の膨張は加速している」ことを発見。その業績で2011年11月、3人の観測・研究者がノーベル物理学賞受賞。

第一章はベテルギウスの超新星爆発に関する最新の研究結果についての記述。第二章、第三章は”超新星”とは何かを理解するため、恒星の一生についての説明。第四章、第五章は宇宙論の歴史。第六章は「宇宙の膨張が加速している」という最新の宇宙論の話。

ベテルギウスの超新星爆発は、明日起こるかもしれないし数万年後かもしれないと。それでも、スーパーカミオカンデのニュートリノ観測で、ぎらぎら光って見える1.5日前にはわかるかもとのこと。

完読、感謝。「宇宙で一番強い力は・・・嫉妬なんだ」とは、超新星観測競争も厳しい。

2012年5月 1日 (火)

今週の1冊 常識としての軍事学

Fuyu今週の1冊は、中央公論新社刊、中公新書ラクレ165、潮 匡人さん著、 ”常識としての軍事学” 、本体価格740円。

著者の潮さんは、青森県生まれ。元航空自衛隊三等空佐。著書に「アメリカが日本を捨てる日」、「テロの脅威が日本を襲う」等、多数。

本著は、「わしズム」(幻冬舎)Vol.2~Vol.13の連載が初出、新書として2005年1月発行。

装幀は中央公論新社デザイン室。青いカバ-表紙に白抜きのタイトル文字と”La Clef”ロゴが印象的。

中公新書ラクレのラクレは”鍵(ラ・クレ)”の意、1962年創刊の中公新書、「事実のみの持つ無条件の説得力を発揮させること」の新シリーズ。

構成は、”まえがき”、”目次”、”第一部 軍事は日常にありふれている”、”第二部 反軍思想と自衛隊の戦力”、”第三部 諜報戦に対する世界の常識、日本の非常識”、”第四部 新しい時代におけるわが国の戦略”、”放課後の質問コーナー”、”あとがき”、全229ページ。

軍事学の入門書。防衛大学校・防衛学研究会による”軍事”の定義は、「軍事(Military Affairs)とは、民事(Civil Affairs)に対する言葉であって、伝統的に軍人、軍隊、軍事力、戦争、防衛などに関することの総称である」とのこと。また、”軍”の字源は、「車上に旗を立てている形で、兵車であることを示す」。なぜ、旗を立てたのかは、「軍の”しき”は、すべて旗で行なわれた」からとのこと。軍を”しき”(軍に方向を指し示す)から”指揮”に。

自衛隊の特殊性、戦力の考え方や評価、諜報戦、対テロ戦術などが実例や現場経験者ならではの視点から、解説されている。

”エシュロン(Echelon、アングロサクソン諸国による世界的通信傍受協力体制)”の話題もおもしろい。

完読、感謝。軍事上で必要となり発展してきた技術やシステムが一般社会でも利用されているのは、軍事が「合理性」、「互換性」、「標準化」を追求してきたためなのかも。ただ、その至上命題は、戦争に勝利することか・・・。

2012年4月22日 (日)

今週の1冊 三匹のおっさん

Sakura_0414_001今週の1冊は、文藝春秋刊、文春文庫あ60-1、有川 浩さん著、 ”三匹のおっさん” 、本体価格695円。

著者の有川さんは高知県生まれ、以前、 ”空の中””県庁おもてなし課” で紹介。最新作は、このシリーズの第二弾、「三匹のおっさん ふたたび」。

本著は、「別冊文藝春秋」2008年3月号~2009年1月号掲載、2009年3月単行本、2012年3月文庫化。

有川さんのたっての願いで主人公たちのイラストを描いたのは、漫画家の須藤 真澄さん。デザインは、大久保 明子さん。

構成は、”目次”、”第一話”、”第二話”、”第三話”、”第四話”、”第五話”、”第六話”、”あとがき”、”文庫版あとがき”、”【特別収録】「ラジオビタミン 児玉 清の読み出したら止まらない」(2009年5月8日放送)”、”解説 中江 有里”、全443ページ。

”痛快!熟年地元限定自警団活劇”。暇をもてあました”おっさん”たちが町で起きる各種事件をクールに解決。

主人公は熟年男性、元近所の悪ガキ仲間の3人、”キヨ”こと建設会社を定年退職した剣道家の清田 清一、”シゲ”こと居酒屋を息子に譲った柔道家の立花 重雄、”ノリ”こと工場経営者で無敵の頭脳派の有村 則夫。

主人公の”おっさん”たちは、町で起こる、「強盗・脅迫事件」、「連続婦女暴行事件」、「詐欺事件」、「動物虐待事件」、「女子高生詐欺・脅迫事件」、「催眠商法」を快刀乱麻。

どこの町でも起きそうな、些細な事件から凶悪事件まで、3人の知恵と武術が冴える。

完読、感謝。おもしろい。長年連れ添った妻の心を惑わす「詐欺事件」の最後は、映画のワンシーンのように・・・。「動物虐待事件」は、将来にかすかな不安を漂わせる内容。

2012年4月15日 (日)

今週の1冊 ファントム・ピークス

Tori_0414_001今週の1冊は、角川書店刊、角川文庫き32-1、北林 一光さん著、 ”ファントム・ピークス” 、本体価格629円。

著者の北林さんは、1961年長野県生まれ。映画宣伝会社のプロデューサーを経て、執筆活動に入る。2006年他界。

本著は、2005年第12回松本清張賞最終候補作品(応募時の作品名「幻の山」)、2007年11月単行本、2010年12月文庫化、2012年2月13版。

装幀は杉浦 康平さん。カバーデザインは、國枝 達也さん(角川書店装丁室)、カバーイラストは、藤田 新策さん。月夜にシダ類が群生する丘に立つ、若い女性の後ろ姿。

構成は、”目次”、”プロローグ”、”第一部 胎動”、”第二部 魔の山”、”第三部 異常事態”、”第四部 禍の姿”、”第五部 惨劇の日”、”第六部 対決”、”エピローグ”、”ファントム・ピークス ― 幻の山を越えて見えたもの 黒沢 清”、全333ページ。

主人公は三井 周平、40代後半。ぜんそく持ちの妻、沓子(ようこ)の体を気遣い、北アルプス常念岳の麓の村に越してきた。三井夫婦にとってようやく訪れた平穏な日々、沓子が忽然と姿を消す。

近くの烏川の支流にある”二の沢”に茸狩りで入った沓子が行方不明に。半年後、沓子の遺骨の一部が”本沢”で見つかる。事故なのか事件なのか、妻が死んだ理由を探るためいまも、ひとり山を捜索し続ける周平。そんな時、村の依頼で猿の群れを調査している山口 凛子と山で出会う。

そしてまた、続けざまに2人の女性が山で行方不明に。山に住む”魔物”が再び動きだす。”魔物”はどこから来たのか・・・。

完読、感謝。おもしろい。病院の場面で、”廊下を奥へ進むごとに死の臭いに蝕まれてゆくような気がした”とあるのは、著者自身が何かを予感していたのか。

2012年4月10日 (火)

今週の1冊 浄土真宗はなぜ日本でいちばん多いのか

Kamo_2タイトルに惹かれて購入。

今週の1冊は、幻冬舎刊、幻冬舎新書249、島田 裕巳さん著、 ”浄土真宗はなぜ日本でいちばん多いのか 仏教宗派の謎 、本体価格760円。

著者の島田さんは、1953年東京生まれの宗教学者で文筆家。その他の著書に、「日本の10大新宗教」、「神も仏も大好きな日本人」等、多数。

ブックデザインは、鈴木 成一デザイン室。黄色の”GS”や”幻冬舎新書”のフォントが印象的。

本書の構成は、”はじめに”、”目次”、”序章 仏教において宗派とは何か”、”第1章 日本仏教宗派の源流、南都六宗(法相宗、華厳宗、律宗+聖徳宗)”、”第2章 仏教の総合大学、比叡山の天台宗”、”第3章 謎多き密教のスーパースター空海の真言宗”、”第4章 元祖・念仏信仰、浄土宗”、”第5章 親鸞が開いた日本仏教の最大宗派、浄土真宗”、”第6章 さまざまな禅文化が花開いた臨済宗(+黄檗宗)”、”第7章 葬式仏教の生みの親でもある道元の曹洞宗”、”第8章 2度も流罪に処された日蓮の日蓮宗”、”第9章 その他の宗派(融通念仏宗、時宗、日蓮正宗)、そして新宗教と葬式”、”おわりに 浄土真宗はなぜ日本でいちばん多いのか”、”参考文献”、全234ページ。

本書は、宗派の代表ではない宗教学者が統一的な観点から、日本の仏教の主な宗派を取り上げ、その特徴と誕生時の時代背景、宗祖の思想、教団の歩み、他宗派との関係や社会的影響をわかりやすく解説。

著者は宗派展開の流れを、奈良時代の「南都六宗」から始まり、「鎌倉新仏教」、江戸時代の「寺院法度」、明治の「廃仏毀釈」、昭和15年の宗教団体法制定による認可統制(13宗56派→28宗へ)、昭和26年の宗教法人法による認証制(一定条件を満たし、届け出さえすれば宗教法人へ)を経て、現在の多様な宗派が分立状態になっていると。

宗派の歴史は日本人が仏教とどのようなかかわりをもってきたか、格闘の歴史であり、宗派が現代まで受け継がれていることは、日本人が仏教に多くを期待している証であると。

完読、感謝。自然に存在する草木さえ成仏できるとは、「天台本覚論」思想は深淵。浄土真宗派信徒総数は1200万人超、寺院総数は2万ヵ寺(全国仏教寺院総数7万7000ヵ寺の約26%)。ウチも門徒です。あなたの家は?

2012年4月 1日 (日)

今週の1冊 震える牛

Dscf0110_tonbi_3今週の1冊は、小学館刊、相場 英雄さん著、 ”震える牛” 、本体価格1,600円。

著者の相場さんは、1967年新潟生まれ。2005年に「デフォルト(債務不履行)」で第2回ダイヤモンド経済小説大賞を受賞。著書に「越境緯度」、「双子の悪魔」など多数。

装幀は、片岡 忠彦さん。カバーの”牛の頭骨の絵”?が印象的。

構成は、”プロローグ”、”第一章 継続”、”第二章 鑑取り”、”第三章 薄日”、”第四章 妨害”、”第五章 魔手”、”第六章 追跡”、”第七章 包囲”、”第八章 破裂”、”エピローグ”、全349ページ、最終ページ裏に”参考文献”。

本著は、”プロローグ”~”第六章”は小説誌「STORY BOX」vol.21~vol.24、vol.27に掲載されたものを加筆・改稿、”第七章”~”エピローグ”は書き下ろし、2012年2月初版。

主人公の田川 信一は、警視庁捜査一課継続捜査班の警部補、47歳。捜査一課第三強行犯係に13年間所属したが、大病を患い、復帰後、閑職の継続班へ。地道な捜査が信条で、メモ魔のベテラン刑事。

捜査一課の宮田課長から、2年前に発生した未解決事件、”中野駅前 居酒屋強盗殺人事件”の再捜査を依頼される。相棒の池田や庁内や所轄の刑事の協力を得ながら、初動捜査で軽視された”地取り”や”被害者の鑑取り”を再検証する。強盗犯としては不自然な行動があらわになり、新たな目撃証言も得るが・・・。

たまたま居酒屋の個室が隣合わせで、強盗犯に殺害された2人の被害者、仙台在住の獣医の赤間と新潟出身の産廃処理業者の西野。それぞれの遺族を訪ね歩く田川は、無関係のはずの2人を繋ぐ人物がいるのではと考え始める・・・。

捜査中に垣間見る地方都市は、流通業界大手のショッピング・センターによる地元商店街の疲弊と荒廃。やがて、獣医と産廃業者を繋ぐ企業が浮かび上がる。利潤追求と成長主義がもたらす企業の恐ろしい実態が・・・。田川の刑事としての矜持が試される。

完読、感謝。メモ魔の刑事とはおもしろい。いつもスーパーで安い総菜は購入するが・・・。

2012年3月27日 (火)

今週の1冊 超常現象の科学 なぜ人は幽霊が見えるのか

Dscf0109_tonbi_4今週の1冊は、文藝春秋刊、リチャード・ワイズマンさん著、 ”超常現象の科学 なぜ人は幽霊が見えるのか” 、本体価格1,550円。

著者のワイズマンさんは、1966年生まれ。プロマジシャンとして活動後、エディンバラ大学にて心理学の博士号取得、ハートフォードシャー大学教授。2002年に、社会科学分野での一般読者向けの科学書執筆、テレビ番組制作などのすぐれた業績でジョセフ・リスター賞(英国科学協会)を受賞。著書に「その科学が成功を決める」など。

著者ホームページは、http://www.richardwiseman.com

訳者の木村 博江さんは、東京生まれの翻訳家。その他の訳書には「錯覚の科学」(以前、紹介済み)、「うつは手仕事で治る!」など多数。

本文デザインは、エヴリ・シンクさん。表紙デザインは、関口 聖司さん。手を広げた少女の影に白い丸点の絵は本文中に解説あり。カバーが二重かと思わせるが・・・。

本書の構成は、”目次”、”あなたの知らない世界へ”、”第1章 占い師のバケの皮をはぐ”、”第2章 幽体離脱の真実”、”第3章 念力のトリック”、”第4章 霊媒師のからくり”、”コーヒーブレイク”、”第5章 幽霊の正体”、”第6章 マインドコントロール”、”第7章 予知能力の真偽”、”おわりに”、”特別付録 これであなたも超能力者”、”謝辞”、”訳者あとがき”、”参考文献”、”参考動画”、全317ページ。

本書では、著者の専門の心理学、脳科学やマジックの原理を説明しながら、超常現象(占い、幽体離脱、念力、幽霊など)の謎を、ユーモアもまじえながら解説。明日からあなたも超能力者になれる(実演キット)説明つき。

欧米での各種超常現象研究の歴史的流れも解説されている。特に”スピリチュアリズム”(死者との交信、死後の命の可能性を信じる宗教?)による”テーブル・ターニング(勝手に動くテーブル)”や”ウィジャ・ボード(元祖こっくりさん)”の謎を解説。当時の科学者の実験と試行錯誤から、無意識に手を動かす「観念運動」や考えまいとするとかえって考えてしまう「反動効果」の解明、さらに”自由意思”は幻想説へと解説がすすむ・・・。

人は集団の中で生き抜くために脳の高度な社会適応性を獲得したが、そのために錯覚を起こすことも・・・、わかっていてもだまされる。最後に著者は、空中浮揚や念力などの非日常的なものに魅力を感じるかもしれないが、日常や自然界の出来事こそ魅力的かつ本物で不思議満載であると。

完読、感謝。著者のハンプトンコート宮殿での幽霊調査結果から、”超常現象を信じる人たちは、信じない人より不思議な現象を体験をすることが多い”は説得力あり。下記に著者が言うところの”見知らぬ相手に、すべてを見抜かれたと思わせる方法”を箇条書きで列挙。

1.相手の気持ちをくすぐる。

2.どちらにもとれる言葉を使う。

3.表現はあいまいに。

4.探りを入れる。

5.誰にでもあてはまりそうなことを口にする。

6.”抜け道”を用意しておく。

 以上

2012年3月20日 (火)

今週の1冊 顔をなくした男 

Shirosagi行き付けの床屋にて地震の話になる。もう一年たつのか・・・、合掌。なぜ、東京のスーパーやコンビニからあんなに物が無くなったのだろう・・・、反省。

河辺の体育館からの帰り、千ヶ瀬の書店による。なつかしいシリーズ物を見つけ、おもわず購入。

今週の1冊は、新潮社刊、新潮文庫フ-13-62、63、ブライアン・フリーマントルさん著、 ”顔をなくした男 (上)、(下)” 、本体価格各670円。

著者のフリーマントルさんは1936年、英国サウサンプトン生まれ。国際関係の記事を専門とするジャーナリストで、デイリー・メイル紙の外報部長から小説家に。著書には「消されかけた男」、「片腕をなくした男」のチャーリー・マフィンシリーズなど多数。

本書は、英国情報部員(MI5)チャーリー・マフィンを主人公とするシリーズ新作「RED STAR ECLIPSE」(三部作の二作目)、日本語訳本、2012年3月発行。

訳者は戸田 裕之さん、カバー装幀は松 昭教さん、”男性”、”建物”、”空港”、”列車”、”地図”の写真を組み合わせたデザインに引きつけられる。

構成は、上巻は”プロローグ”、セクション”1”~”18”、全394ページ。下巻は”19”~”33”、”訳者あとがき”、全373ページ。

主人公のチャーリーは国益のために働く、MI5の現場工作員。痛がる足(槌状足指症?)をなだめすかしながら、信じられるのは自分の経験と直感のみ(たまに裏切られるが・・・)、単独で敵地に乗り込み、生き残りをかけて工作を行う。

今回は、MI5とMI6との合同作戦の名目で、ロシアからチャーリーの妻子を亡命させる計画が始まる。MI6は密かに、この工作を別の亡命計画の陽動作戦にしようとする。

味方の裏切りに気づくチャーリー。命を狙われながら、無事に自分の妻子を救出できるのか・・・。

完読、感謝。久しぶりのチャーリーを堪能。”実戦開始時の第一原則は、脱出路を確保すること。”は生き抜くための参考になるかも。

2012年3月 5日 (月)

今週の1冊 少女

Hokkaido_hakodatehonsen今週の1冊は、双葉社刊、双葉文庫み-21-02、湊かなえさん著、 ”少女” 、本体価格619円。

著者の湊さんは、1973年広島県生まれ。すでに「告白」、「花の鎖」、「境遇」を紹介済み。

本作品は2009年1月、早川書房より単行本刊行されたものの文庫化。

光さす窓辺に置かれた台に白いシーツと枕?カバーデザインは大路 浩実さん。文庫の表紙・扉絵は南 伸坊さん、フォーマット・デザインは日下 潤一さん。

本書の構成は、”目次”、”遺書〈前〉”、”序章”、”第一章”~”第五章”、”終章”、遺書〈後ろ〉”、”解説 星 真一”、全323ページ。

女子高生二人のひと夏の物語。過去の出来事がトラウマになり過呼吸発作を起こす草野 敦子、小学生のころ祖母から受けた傷が左手に残る桜井 由紀、二人の交互の視点で物語が進む。由紀が敦子のためだけに書いた小説「ヨルの綱渡り」が、教室に置き忘れたカバンから盗まれる。その作品が投稿され、作者は・・・。その後の担任教師の死。

転校生の紫織が話す友人の自殺、二人は人の死の瞬間に魅了されて・・・。無邪気で残酷な人たち、被害者・加害者ともに救いはあるのか、物語に用意された伏線が明らかになり最後は・・・。

完読、感謝。まさに因果応報ということか、伏線を十分に堪能。「神様も目的のない才能の貸し出しなんかしないはず・・・」はおもしろい。

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